うつヌケ
数年前、ツイッターでフォローしていた漫画家の田中圭一さんが、
「新刊で自分やいろんな人の、鬱病や回復のきっかけを集めて漫画にしました。」というツイートで、
『うつヌケ』(角川書店、紙本は税別1000円)を知り、漫画なら、親しみやすいし、
いつもひょうきんな田中圭一さんなら、安心して読める気がして、
書店で買った。
本当にいい本だった。ほぼ全ページ漫画で読みやすく、
鬱病を経験した人たちの体験談に、共感できた。
エピソードは教師や主婦、ミュージシャン、IT関係の人たち、OL、作家などたくさんあったけど、
一番驚いたのは、アダルトビデオの監督の男性が出てきて、
その人は、肉体の激痛や鬱で苦しんでいたとき、
霊感があるアダルトビデオの女優さんから、
「子どもの頃、母を亡くした深い悲しみを、あなたは今も抑圧している」
ことを教えてもらい、それが回復のきっかけになった、
ということだった。
まさかアダルトビデオを作っている人たちの間で、
心の癒しが起きていたとは、
さすがに予想だにしなかったし、意外だった。
アダルトビデオは、卑しい、恥ずかしい、穢れた、
無垢さや、純粋さや、真正さ、誠実さとは真逆の、罪深い、恥ずかしいもの、というイメージ。
だから、うつヌケで、アダルトビデオの監督さんが出てきたのは、
驚きだったのかな。
アダルトビデオを作ってる人も、自分と同じく、悲しみや、苦しみ、
鬱やら、孤独やら、寂しさを感じている、というのが、驚きだった。
「アダルトビデオの製作に参加するのは、ダメで、恥ずかしい、
蔑まれる仕事、尊敬される序列が低い仕事」
というイメージが、あったのかな。
あと、パンクミュージシャンの大槻ケンヂさんが、若い頃からずっと鬱病で、
仕事をしてないときが極度に不安で、
森田療法に取り組んでいたと話していて、これも驚きだった。