呼んでいる胸のどこか奥で

2016年から奇跡講座を学んでいます。デイビッドはDavid Hoffmeister氏で、ワプニック博士はKenneth Wapnick博士てす。MWGEはコース学習者のための映画紹介サイトhttps://mwge.org/ です。

エヴァの痛々しさ

エヴァの旧劇場版を初めて見た時は

呆気に取られて全身が緊張して動けないみたいな感じだった。

弐号機がやられるシーンのグロテスク方面の痛々しさも

めちゃくちゃにショッキングだったけど

シンジとアスカの喧嘩・首絞めシーンの痛々しさ・

自分を見ているような不快さ、

自分のことを鋭く咎められてあげつらわれているあの嫌な感覚

がめちゃくちゃに生々しくてリアルで。

そのシーンはアニメ作画で、

直後に声優さんたちと群衆の実写シーンに切り替わるけど、

実写作品でもこれほど痛々しさを生々しく表現した作品は

果たしてあるのか。(たぶんあるんだろうけど)

シンジが「ぼくにかまってよ!ぼくをひとりにしないでよ!

ぼくに優しくしてよ!

ぼくを傷つけないでよ!」

とか

アスカが「あんた他の人が怖いからアタシに逃げてるだけじゃない。

いつも自分のことしかココにないのよ!」

「あんただけとは絶対イヤ」

とか

たぶん誰もが自分の弱みというか

痛々しさとか自己嫌悪を感じる部分をひたすら鋭く

えぐりだされる感じ。

押井守作品の冷徹で落ち着いた・一貫して客観的で

洗練された雰囲気とはまるで逆。

庵野さんは超主観的で、

だからこそ「生の自分自身」を見せつけられて

どっぷり感情移入する(だからしんどい)

 

今は何度となく見たから慣れたけど

初めて観た時は「2度と見たくない・見る気になれない」

みたいな感じだった。

喧嘩シーンでアスカは激しく怒って躊躇わずに言い返すけど

シンジは一言も言い返せずに

アスカに蹴られたり熱いコーヒーをこぼされたりで

下を見て目を合わさずに、

突然キレてアスカを殺そうとするシーンは

「怒りを自分でも気づかない内に押し殺して抑圧してるから

相手が怒って自分を責めている時は

ひたすら沈んでいるけど

後になって突然溜まってた怒りが浮上してくる」

って言う自分のパターンに見えたから

痛々しかったのか。

男性で

エヴァは見られない。主人公がムリだから」

って言う人たちがいて、

Youtube のコメント欄でも

シンジの弱々しさ・虚弱さ、女々しさ・情けなさ

に我慢できず虫唾が走るみたいなコメントがあったけど

自己嫌悪とか不快感を催す生々しさがすごい。

自分の父もだけどたぶん「強い男・弱みを見せない」の人格で生きてきた人ほど

シンジは見てて気持ち悪くて耐えられない。

シンジを見てられないと言った人の1人にウメハラ氏がいるけど、

ウメハラはガイル使いだったゲーセン時代ポーカーフェイスなあまり

ついたあだ名が「すまし顔ガイル」だった(最近は加齢と配信慣れでほぐれた)

 

シンジの臆病で気が弱いと見せかけて実は恨みとか

攻撃衝動とか殺意があるから噴出するけど

普段は表に出せない

みたいな陰湿さもリアルで。

主人公なのにここぞで絶望して無気力になるところも。

アニメだからこそここまで表現できたのかもしれない。

普段実写のドラマとかでよく見る演技とはまるで違う。

前に書いた『オーバー・フェンス』の

蒼井そらオダギリジョーと寝た後にパニックになるシーンは

本当にリアルで見てて内臓から全身が緊張する迫真さだったけど

シンジみたいな「屈折した弱々しさ」はちょっと他では見ない。