呼んでいる胸のどこか奥で

2016年から奇跡講座を学んでいます。デイビッドはDavid Hoffmeister氏で、ワプニック博士はKenneth Wapnick博士てす。MWGEはコース学習者のための映画紹介サイトhttps://mwge.org/ です。

彼氏彼女の事情(著:津田雅美)

マンガParkというアプリで見続けている作品。

本当にいい作品だった。

原作漫画の後半は映像化してなかったから、見たことなかった。

アニメは漫画の序盤だからまだ明るく笑える雰囲気だけど、

漫画の後半から急に深刻になり、笑える雰囲気がない。

後半では有馬総一郎という出木杉くんみたいな完璧な男の子が、

ずっと抑圧というのか、忘却していたけど、実は幼い頃、

いじめられたり虐待されていたことを少しずつ思い出しはじめて、

トラウマや嫌な記憶から精神的に余裕がなくなってきたけど、

自分のみじめな姿を見せたくない一心で、

ひたすらに平気なふりをして、周りに隠し続けた。

隠していたことがばれても、

「自分でなんとか処理するから、放っておいて」と、

平気なふりをして、ひたすら一人になろうとする。

有馬は過去の被害者としての自分から脱却して、ひたすら努力して、

優秀で他人に勝って上に立てる、

他人から羨ましがられる自分でありたい、という一心で生きていた。

自分の秘密がばれるとなると、

必死に築き上げてきた自己概念やマスクも全部、

嘘だったのがばれる。

ずっと悲惨さを抱えていたのがばれてしまうのだけは、

なんとか避けて、隠そうとしていた。

雪野に嘘がばれて、隠しきれなくなったとき、

有馬は、「俺みたいなどうしようもない男に好きになられて、

無理矢理感情をぶつけられて、雪野はかわいそうだよな」と、

自分を嘲っていた。

自分は迷惑かける存在だから、もう付き合いたくない。

という感じで、離れようとする有馬に、雪野は、

「こういう時に一緒にいなくてどうするの?

怒りをぶつけたのを気にしてるのかもしれないけど、

気にしてないから」と、離れようとしなかった。

有馬は母親との関係もあってか、根本的に、他人が信頼できない。

自分は有馬ほど極端な環境で育ったわけではないにしても、

有馬のことを、全く他人とは思えなかった。

 

そういえば漫画アプリのコメント欄で、

有馬を虐待して育児放棄した母親に対して、

強い怒りを表現したコメントがあった。

不思議なもので、

インクで描かれたそれほどリアルでないキャラクターでも、

憎いキャラクターはたしかに憎く感じられる。

漫画アプリでは、コメント欄に悪役への怒りや憎しみや、

被害者への同情が溢れる、

ということが時々あるけど、デイビッドたちの映画リトリートみたいに、

読んでいるとつい感情移入してしまう。

あとアニメ版の監督はエヴァと同じ庵野さんだった。